2017年6月10日

薬局の業務を効率化したいならA4用紙を裁断してはいけない

2017年6月号の日経DIに裁断機で業務効率化っていう記事を読んで衝撃をうけました。

記事で紹介されていた薬局が、業務効率化をする理由っていうのが、忙しい業務の中で患者と接する時間を少しでも増やすために「業務効率化は欠かせない」とのことです。ごもっともで、医療従事者としすばらしい心構えだと思います。

これは、うちの薬局も見習わないと。うちの薬局も、いままで働いてきた薬局も、裁断機なんてありませんでした。裁断機で業務効率化なんて考えたこともありません。いったい、どんな業務効率化ができるのでしょうか?

記事を読み進めるてみると、業務効率化スーパーアイテムの裁断機はA4用紙からA5用紙を作成するために使うそうです。

確かに、A4用紙をハサミやカッターで切っていたら時間がかかってしょうがない、これは裁断機があったほうが圧倒的に時間節約になります。

すばらしいアイデアです。でも、なんでうちの薬局はこんな簡単な効率化をしてないんだろう?

考えてみたら、簡単でした。

そうです!!A5用紙を購入しているからです。そもそも裁断する必要なかったんです。あ?これこそ最大の効率化じゃないですか。

そうっ、裁断機よりも超業務効率化できるアイデアがあります。そうです、A5用紙を購入しよう!!

そもそも目的が、時間を節約して患者に費やす時間を増やそうという目的であるなら切るまでもなくA5用紙をさっさと購入すべきです。でも、A4をA5に切った方が安上がりでコスト削減の目的もあるからちゃんとそこも分析して、費用対効果を計算しとこうと思います。

まず、この紹介していた薬局のスペックを分析して、用紙の必要枚数を割り出します。コピー用紙の購入といえばASKULなので、ASKULベースの価格で比較してみようと思う。

過去にこんな記事を書いています。
>>ライバル薬局の処方箋の枚数を調べる方法

ごめんなさい調べてしまいました。

調べたのが2017年6月10日で、このページの最終更新日が2017/05/09です。その前年度の実績しかわからないのであしからず。

さて、年間の処方箋応需枚数は約8000枚です。ということは、1年の必要な調剤録(A5)は8000枚で、領収証(A6)は8000枚として計算していきます。

アスクルのコピー用紙価格(ケース買い:税込)
A4:3108円(5000枚)
A5:2681円(5000枚)
A6:1747円(6000枚)

1年分の作成量
A5:8000枚(アスクル相当額:4290円)
A6:8000枚(アスクル相当額:2330円)

これを作成するために材料はA4用紙6000枚(アスクル相当額:3730円)です。

よって、1年間に節約できる用紙代は、
(A5やA6で購入した金額) - (A4で購入した金額)
つまり、
4290+2330-3730 = 2890円

はい、1年に節約できる用紙代は2890円です。月々にして240円の節約です。

ということは、この薬局は月々240円を節約するためにA4用紙をせっせと切断してA5用紙をつくって、さらにそれを切断してA6用紙を作成しているわけです。

やばいでしょ?もうちょっと突っ込みますよ。

紙面で紹介していた裁断機(スライドカッター ハンブンコ)はこちらです。裁断機としては十分なスペックで、線を入れずに半分サイズにで使いやすそうです。
裁断能力をみると1度に約20枚を裁断できるそうです。となると、1年分の裁断する回数はというとA4の6000枚を半分にして、A5を12000枚つくって、うち4000枚を半分にしてA6を8000枚作ります。

ということで、10000枚分の裁断作業が必要になるので、1回20枚ごとに切っていくと500回ですね。

500回の裁断作業で2890円のコスト削減です。どうでしょうね?まぁ、この判断は各自でお願いします。

患者の接客時間に時間を費やしたいという目的があるなら、こんなことに時間使ってはダメです。

そもそも裁断機が調剤室内にあったら邪魔ですよね?よほど広くない限りは、出しっぱなしはできないから、一回ごとにかたずけるでしょ。より、手間かかるし邪魔です。

本人たちは、経費削減の大義名分でやってるんだろうけど、完全に自己満足です。こんなせこい削減努力するよりも、利益が上がるように努力するべき。年間8000枚だと経営が苦しいのはわかるけど、目先の節約にとらわれていてはダメです。

批判ばっかりしてもあれなんで改善案も提示しておきます。

A4用紙を裁断することよりも優先して努力すべきこと


そもそも患者のために時間をつくることが目的な「業務効率の改善」なわけで、それが逆に浪費になってしまっているから困るんです。

これからの薬局は、対業務から、対業務にシフトしてかないといけないって言われているから、目的はいいけど、その手段が間違ってますよね。対物業務を増やしてどうするのって感じです。

では、月に240円の経費削減よりももっと簡単な、月に240円の利益改善を提案します。

上記でもいったようにこれからの薬局に求められているのは対人業務です。前回の改定で、対人業務に対して評価をする点数が見直されました。その代表的な点数が“かかりつけ薬剤師指導料”です。せっかくなので、がんばってみたらどうでしょうか?

ひとり勧誘で20~32点の技術料UPです。1回算定したら今後永続的に算定できます。つまり、月に1回来局する患者さん1人と契約をとることができたら、それだけで毎月240円程度の利益改善できるので、裁断機を破棄してA5・A6用紙を堂々と購入できます。

なんで捨てたんですか?ってきかれたら、1人契約とったからだよ!!って言えばOKです。

まだまだ策はあります。

重複投薬・相互作用等防止加算(30点)の算定です。この点数をとるにあたっては疑義照会する事由が必要なので、努力でとれるものではないとおもっていませんか?

いいえ違います、この点数は残薬確認して残薬調整したらとれます。ということは、裁断する時間を節約して残薬の声かけに使ってみてはどうでしょうか?1回裁断の時間で、1回の声掛けはできるはずです。

残薬というのは、掘り起こせばでてくるものなので、その掘り起こす作業こそがいまの薬剤師に求められている対人業務なのです。

医療費の削減で国家にも貢献できて、患者の役にもたつと薬剤師冥利ですよね。これをやってほしいから点数が前回改定で重複投薬・相互作用等防止加算は30点にUPしたんです。

あとは、ハイリスク加算(10点)や乳幼児服薬指導加算(10点)もありますよね。一包化加算や嚥下困難加算なんかも、対象患者がいたら薬局から医師に疑義して算定することだってできる。ようは努力次第ってことです。

ね?240円の改善って時間を使えば簡単にできそうでしょう。

対物業務の改善もいくつか書いておきます。

それはジェネリックへの取り組みです。後発加算がとれなくてもジェネリックへ変えてもらうメリットはある。それは薬価差益です。

多くの場合ではジェネリックに代えた方が薬価は下がるけど、薬価差益は大きくなるはずです。そうでもないと薬局のメリットないですからね。

このあたりは計算してみてください。でもジェネリックへの変更の努力なんて、すでにこれ以上ないくらい努力しているよ?なんてところはたくさんあると思うけど、先発の人にAGまでちゃんと紹介できていますか?

先発至上主義の方の牙城を崩す必殺の手段がオーソライズドジェネリックです。先発だからといってあきらめずに、時間はかかるけど、こういう細かいところまで拾っていくのが対人業務へのシフトです。

関連記事:オーソライズドジェネリックの一覧表

あと発注先卸ごとに値引き率って違うからこれの見直しもどうでしょうか?

1箱10000円の薬で、値引き率が1%違えば100円違いますよね。これも立派な経費削減です。分割販売の利用も、あれってほぼ薬価だから本当に分割で買う必要があるのかを吟味してみるのもおもしろい。

そうそう、分割販売って卸によってだいぶ価格違うからちゃんと比較しましょうね。

関連記事:薬価差益を最大化するために薬品ごとに発注卸を決める方法

時間があるなら不動在庫(デッドストック)の売買に着手するっててもありますよね。

ネットで簡単に郵送して処理できる。デッドストックの処理だけでなく、同じサイトで格安で医薬品を購入することもできるので併せて検討してみるといい。

関連記事:不動在庫やデッドストックの売買ならファルマーケットがお勧めの理由

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