2017年5月9日

大建中湯・小建中湯・黄耆建中湯などの建中湯類の違い

登録販売者の漢方薬を勉強してみたをシリーズにしようとおもっています。今回は「建中湯類」を説明していこうと思う。

代表的な建中湯類といえば、大建中湯・小建中湯・黄耆建中湯ですね。いちばん有名なのは大建中湯で、ほとんどの薬局にあるものじゃないですか?でも、OTCだと大建中湯ないんですよね。ちなみに小建中湯と黄耆建中湯はあります。

建中湯類はどれも、胃腸を意味する「中」を「建て直す」薬なので胃腸の薬です。とりあえず、建中湯類の特徴はどれも量が多いことです。

共通して「膠飴」って生薬が使われているのですが、これが量が多くなる原因です。膠飴は他の生薬と違ってすでに濃縮された粉末なので製造過程で濃縮できずに、他の生薬はエキス剤にして減りますが膠飴だけは量が減らせないのでどうしても多くなってしまいます。

ちなみに「膠飴」はうるち米からつくった飴です。薬能は「体力、気力を補い回復させ、痰、咳嗽を止め、新陳代謝を盛んにし五臓支配下の全身に潤いをつける。(古方薬議)」ですね。

全身にうるおいをつけるということですが、建中湯類は腸の調子を立て直すので、この膠飴は腸を潤す目的でつかってます。

大建中湯の構成生薬を添付文書でチェックしてみます。

本品15.0g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス1.25gと日局コウイ10.0gを含有する。
日局カンキョウ  5.0g
日局ニンジン   3.0g
日局サンショウ  2.0g

ということで、乾燥エキスと膠飴10gだからどうしても量が多くなるのです。この膠飴10gってのは建中湯類で共通するので、建中湯類はどれも量がおおいと覚えておきましょう。

大建中湯とかは通常量で15gなので、腸閉塞の人は大建中湯は2倍飲むから15gとか思ってる人いたけど、そうじゃなくって通常量が15gなので、7.5gできたときがイレギュラーで少なめってことです。

小建中湯と大建中湯って名前似てるけど構成生薬をチェックすると中身全然違うんです。ちなみに、小建中湯と黄耆建中湯はほとんどおなじで、小建中湯に黄耆を加えたものが黄耆建中湯ですね。

参考までに黄耆の薬効は「主として体表の水のうっ滞(発汗異常や浮腫)を治す。したがって、黄汗、盗汗、浮腫を治す。(薬徴)」です。

せっかくなので配合成分を表にしてみました。
大建中湯 小建中湯 黄耆建中湯
人参    
山椒    
乾姜    
膠飴 膠飴 膠飴
  芍薬 芍薬
  桂皮 桂皮
  大棗 大棗
  甘草 甘草
  生姜 生姜
    黄耆

どうですか?大建中湯と小建中湯って名前が違うけど全然違う生薬で構成されているのがわかりますよね。

ちなみに商品はないけど、大建中湯と小建中湯を一緒に服用して中建中湯としてつかうこともあります。

せっかくなので、次はツムラの医薬品添付文書をみていきたいとおもう。

大建中湯
腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの

小建中湯
体質虚弱で疲労しやすく、血色がすぐれず、腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿および多尿などのいずれかを伴う次の諸症:小児虚弱体質、疲労倦怠、神経質、慢性胃腸炎、小児夜尿症、夜なき

黄耆建中湯
身体虚弱で疲労しやすいものの次の諸症:虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ

大建中湯について


大建中湯
腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの

お腹の冷えによく使われる薬です。お腹が冷えは、腸の蠕動運動が低下・腹部の不快感や膨満感、また、便秘の原因にもなります。

構成生薬は、人参・山椒・乾姜・膠飴なのでセンナや大黄みたいな瀉下作用のある漢方が含まれていません。それでもこの大建中湯は便秘の症状を改善してくれるのは冷えを改善することで腸の蠕動運動が促進するからです。

大建中湯と言えば、開腹手術のあとの腸閉塞によくつかわれますね。お腹をあけて閉じると腸閉塞になってしまうことがあります。その症状を楽にするのが大建中湯ですね。お腹の冷えを改善し、腸管血流改善作用や消化管運動促進作用・健胃作用が予後をよくしてくれます。

もちろん、腸閉塞以外でも、腹部の冷えからくる腹痛にもつかえますね。腹部の冷えは自身で自覚していることがおおく、実際に手をあてるとひえているのがわかるそうです。

そういった人の腹部の不快感も改善してくれます。

ラキソベロンやプルゼニドなどの刺激性下剤でお腹の痛みが出てしまう人にはこの大建中湯をためしてみるといい。

小建中湯について


大建中湯と小建中湯は名前は似てるけど、中身は全然違いますね。でも、腹部を温める漢方ということで親戚みたいなものにはなります。

構成生薬は芍薬・桂皮・甘草・生姜・大棗・膠飴

小建中湯
体質虚弱で疲労しやすく、血色がすぐれず、腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿および多尿などのいずれかを伴う次の諸症:小児虚弱体質、疲労倦怠、神経質、慢性胃腸炎、小児夜尿症、夜なき

大建中湯も小建中湯も腹部の冷えにつかうけど、大建中湯は「腹部が冷えて弱っている」症状につかうのに対して、小建中湯は「生まれつきお腹が弱くて冷える」という状態を改善します。

添付文書の効能効果を比較してもそんな感じのニュアンスが読み取れるとおもいます。また小児の記載がいくつか見られますよね。「小児虚弱体質、小児夜尿症、夜なき」。生まれつきで胃腸が弱くて、下痢や便秘を繰り返したり、体重が増えなかったり、風邪ひきやすかったりとそう言ったのにつかいます。

で、

虚弱で胃腸が弱くて、お腹の冷えが強い場合は「大建中湯と小建中湯」を一緒に併用して「中建中湯」としてつかうこともあります。

どちらも膠飴を含むので1回に2包ずつ服用が原則なので、1回1包ずつにして両方飲めばちょうどいいのではないでしょうか。

黄耆建中湯について


黄耆建中湯は小建中湯に強壮作用を有する黄耆を加えた方剤です。より虚弱な体質につかいます。黄耆は皮膚の症状を改善する効果もあるので小児のアトピー皮膚炎などにもつかわれます。

黄耆建中湯
身体虚弱で疲労しやすいものの次の諸症:虚弱体質、病後の衰弱、ねあせ
以上が、登録販売者が全力で建中湯類についてまとめてみました。漢方はどれも第二類医薬品のカテゴリーなので登録販売者でも知識さえつければお客さんにどんどん提案できます。

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