2014年10月12日

向精神薬多剤投与の減算ルール


こないだ処方せん発行料についての記事書いたのでそれの追加ルールだと思ってほしい。

関連記事:7種類以上の処方せん発行料

医師は7種類以上の薬を処方すると処方せん発行料を減らされてしまいます。

これと同じように、向精神薬をたくさん処方した場合(向精神薬多剤投与)は処方せん料など色々減算されてしまいます。

調剤薬局には関係ないことなのだが処方せんを受け付ける側として処方せん発行のルールくらいは抑えておきたい。

管理人はちょっとだけ医療事務の勉強をしたことがあるので頑張って調べてみました。

処方せん料
1. 3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬又は4種類以上の抗精神病薬の投薬(臨時の投薬等のものを除く。)を行った場合 30点

2. 1以外の場合であって、7種類以上の内服薬の投薬(臨時の投薬であって、投薬期間が2週間以内のもの及び区分番号A001に掲げる再診料の注12に掲げる地域包括診療加算を算定するものを除く。)を行った場合 40点

3. 1及び2以外の場合 68点
1処方につき3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬又は4種類以上の抗精神病薬の投薬(臨時の投薬等のものを除く。)を行った場合には、所定点数の100分の80に相当する点数により算定する。
向精神薬多剤投与すると
1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬又は4種類以上の抗精神病薬を投与した場合(以下、「向精神薬多剤投与」という。)、精神科継続外来支援・指導料は算定できないこととし、処方せん料、処方料、薬剤料については減算する。
いくつかの例外も規定されている
(イ) 他の保険医療機関ですでに、向精神薬多剤投与されている場合の連続した6ヶ月間
(ロ) 薬剤の切り替えが必要であり、既に投与されている薬剤と新しく導入する薬剤を一時的に併用する場合の連続した3ヶ月間
(ハ) 臨時に投与した場合
(ニ) 抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師(※)が処方した場合
※精神科の診療に係る経験を十分に有する医師とは以下のいずれにも該当するものであること
  1. 臨床経験を5年以上有する医師であること。
  2. 適切な保険医療機関において3年以上の精神科の診療経験を有する医師であること。
  3. 精神疾患に関する専門的な知識と、ICD-10においてF0からF9の全てについて主治医として治療した経験を有すること。
  4. 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了していること
ややこしいのでまとめてみました。

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まとめ


まず、多剤投与とは以下の事を言います。
  • 3種類以上の抗不安薬
  • 3種類以上の睡眠薬
  • 4種類以上の抗うつ薬
  • 4種類以上の抗精神病薬
向精神薬の多剤投与とはこのいずれかに該当する場合をいい処方料処方せん料薬剤料精神科継続外来支援・指導料が減算される。

つまり、

睡眠薬や抗不安薬は2種類しか出せないのだ。

処方
ドラール
マイスリー
ハルシオン
1日1回就寝前

この処方は睡眠薬が3種類はいているので多剤投与とされ減算対象です。

どれくらい診療報酬を減らされてしまうのかというと、

ノーマル投与 多剤投与
処方せん料 68点 30点
処方料 42点 20点
薬剤料 100 100分の80
精神科継続外来支援・指導料(1日につき) 55点 なし

いろいろと減らされているけど、これ全部が減らされるわけではありません。

院外処方のときは、処方せん料が減らされてしまうので68点→30点になってしまいます。

院内処方のときは、処方料と薬剤料が減らされてしまいます。薬剤料は80/100だから赤字ですね。

入院患者の場合は、精神科継続外来支援・指導料がまるまる55点算定できなくなります。

薬剤料が減算されるのは院内処方の時だけなので、調剤薬局から減算されることはない。

どの場合をとっても技術料の減算だから純利益減になる。

これだけ減らされると精神科医は多剤投与は嫌でも意識せざるえませんね。

いちおう、

精神科継続外来支援・指導料とは
1日につき:55点
入院中の患者以外の患者について、精神科を担当する医師が、患者又はその家 族等に対して、病状、服薬状況及び副作用の有無等の確認を主とした支援を行った場合に、患者1人につき1日に1回に限り算定する。
当該患者に対して、1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上 の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬又は4種類以上の抗精神病薬を投与した場合( 臨時の投薬等を除く。)には、算定しない。


向精神薬多剤投与の分類リスト一覧表


抗不安薬や睡眠薬って分類が微妙なんですよね。

色んなブログよんだけど、医師でも分類に悩むことがあるようです。

たとえば、

デパス錠
抗不安薬としても使うし、眠くなるから睡眠導入剤としても使う。
これは睡眠薬ではなく抗不安薬に該当します。

ドグマチール
用量によって抗うつ薬にもなるし抗精神病薬にもなるが分類は抗精神病薬になる。
このように分類が微妙なのでリストで確認しないと正確にカウントすることができない。

別紙36
抗不安薬 オキサゾラム、クロキサゾラム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、フルジアゼパム、ブロマゼパム、メダゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、フルタゾラム、メキサゾラム、トフィソパム、フルトプラゼパム、クロルジアゼポキシド、ロフラゼプ酸エチル、 タンドスピロンクエン酸塩、ヒドロキシジン塩酸塩、クロチアゼパム、ヒドロキシジンパモ酸塩、エチゾラム、ガンマオリザノール
睡眠薬 ブロモバレリル尿素、抱水クロラール、エスタゾラム、フルラゼパム塩酸塩、ニトラゼパム、ニメタゼパム、ハロキサゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパム、ブロチゾラム、ロルメタゼパム、クアゼパム、アモバルビタール、バルビタール、フェノバルビタール、ペントバルビタールカルシウム、トリクロホスナトリウム、クロルプロマジン、プロメタジン、フェノバルビタール、リルマザホン塩酸塩水和物、ゾピクロン、ゾルピデム酒石酸塩、エスゾピクロン、ラメルテオン
抗うつ薬 クロミプラミン塩酸塩、ロフェプラミン塩酸塩、トリミプラミンマレイン酸塩、イミプラミン塩酸塩、アモキサピン、アミトリプチリン塩酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩、マプロチリン塩酸塩、ペモリン、ドスレピン塩酸塩、ミアンセリン塩酸塩、セチプチリンマレイン酸塩、トラゾドン塩酸塩、フルボキサミンマレイン酸塩、ミルナシプラン塩酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリン、ミルタザピン、デュロキセチン塩酸塩、エスシタロプラムシュウ酸塩
抗精神病薬(〇印は非定型抗精神病薬、△は持続性抗精神病注射薬剤) 定型薬 クロルプロマジン塩酸塩、クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩、ペルフェナジンフェンジゾ酸塩、ペルフェナジン(塩酸ペルフェナジン)、プロペリシアジン、トリフロペラジンマレイン酸塩、フルフェナジンマレイン酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩、レボメプロマジン、ピパンペロン塩酸塩、オキシペルチン、スピペロン、スルピリド、ハロペリドール、ピモジド、ゾテピン、チミペロン、ブロムペリドール、カルピプラミン塩酸塩水和物、クロカプラミン塩酸塩水和物、カルピプラミンマレイン酸塩、スルトプリド塩酸塩、モサプラミン塩酸塩、ネモナプリド、モペロン塩酸塩、レセルピン、△ハロペリドールデカン酸エステル、△フルフェナジンデカン酸エステル
非定型薬 〇△リスペリドン、〇クエチアピンフマル酸塩、〇ペロスピロン塩酸塩水和物(ペロスピロン塩酸塩)、〇オランザピン、〇アリピプラゾール、〇ブロナンセリン、〇クロザピン、〇パリペリドン、〇△パリペリドンパルミチン酸エステル
成分名だとわかりにくいという人には、上位の表を有名どこの商品名にした表を別の記事で紹介しています。
関連記事:向精神薬の分類一覧表

疑義解釈
質問 答え
別紙36で抗精神病薬に分類されているレセルピンを降圧剤として投薬した場合等、向精神薬を別の目的で投薬した場合も向精神薬多剤投与に係る種類数に含まれるのか。 含まれる。別の効果を期待して投薬した場合であっても、別紙36の分類に基づき医科- 3向精神薬として種類数にカウントする。なお、種類数に含まれるのは別紙36に示した成分の医薬品を内服・頓服・外用として投薬した場合であり、注射薬は種類数に含まれない。
1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬又は4種類以上の抗精神病薬の投薬を行った場合、同一処方したその他の薬剤を含む全ての内服・頓服・外用に係る薬剤料を所定点数の100分の80に相当する点数で算定することになるのか。 そのとおり。すなわち、薬剤料の所定点数は、内服・頓服・外用のすべての区分について、各区分の総薬剤点数の100分の80に相当する点数を算定する。
抗うつ薬又は抗精神病薬を処方する場合において、臨時で処方した場合や精神科の診療に係る経験を十分に有する医師が、やむを得ず投与を行った場合は、向精神薬多剤投与に係る種類数のカウントには含めないが、同時に抗不安薬又は睡眠薬を3種類以上処方した場合、抗うつ薬又は抗精神病薬を含む全ての薬剤料が100分の80に減算となるのか。 そのとおり。なお、処方料や薬剤料を減算した点数で算定する場合は、診療報酬明細書へ除外規定に該当する内容等を記載する必要は無い。


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