2014年9月22日

分割調剤を学ぶ8個のポイント


薬局で処方箋のお薬をもらう時に分割調剤って便利なシステムがあるんだけど、未だかつて分割調剤をしたことはありません。

予習がてら分割調剤についてまとめてみました。

ちなみに、平成28年度調剤報酬改定で大きな内容の変更があったので、追加になった内容はこちらの記事でまとめてあります。
>>H28年調剤報酬改定で医師の指示による分割が可能に

今回はかなり長文になるので目次を用意しました。

目次


分割調剤とは?

分割調剤とは処方箋に記載されている薬を全ての日数分渡すのではなく希望する日数分だけを先に渡すシステムだ。

一度処方箋の返却を受けるので、後日必要であれば残りの分を処方してもらうことができる。

例えば、
30日分の薬がでているとして、この薬を30日分をまとめてもらうのではなく15日分だけ先にもらって、残りの15日分をあとでもらうというように処方箋の薬をわけてもらう方法です。

とても便利なシステムだと思うのですが、なぜ世の中に浸透しないのでしょうか?

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分割調剤をしない理由


①分割理由が限られているから
分割調剤は無制限に認められているのではなく分割できる理由が限定されている。
  • 長期処方で薬剤の保存が困難な場合
  • 初めてジェネリック医薬品を試して見る場合
この2つのパターンに限られる。

②第二の理由はめんどくさいから
面倒だから薬局側から提案することはあまりありません。
どのようにめんどくさいかというと
  • 処方箋の備考欄に、手書きで、分割理由、処方量、薬剤師の署名、住所などを記載しなければならない
  • 処方箋の期限を計算して次回の来局日を説明をしなければならない
  • 分割調剤したことを医師に連絡しなければならない
  • 手間をかけて分割しても5点しかもらえない
分割調剤はめったにおこなわないので通常業務から外れたイレギュラーな業務なのだ。

そもそも手間がかかるのに、慣れていないからさらに時間がかかる。

なるべくは分割調剤はしたくないので薬局側から提案することは殆ど無い。

もし、分割調剤をしたい時は患者が自身で「分割調剤をお願いします」と頼むほかない。

ただ、分割調剤なんてシステムなんて関係者以外知らないから頼まれることがまずないのだ。


分割調剤の要件


分割調剤をする理由は2パターンあると説明したが、それぞれで微妙に要件が違うので違いを把握しなければならない。

長期保存困難で分割する場合
長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せん受付において、薬剤の保存が困難であること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方せんに基づく当該保険薬局における2回目以降の調剤については、1分割調剤につき5点を算定する。なお、当該調剤においては薬学管理料は算定しない。

初めてのジェネリック医薬品を試すために分割する場合
後発医薬品に係る処方せん受付において、当該処方せんの発行を受けた患者が初めて当該後発医薬品を服用することとなること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方せんに基づく当該保険薬局における2回目の調剤に限り、5点を算定する。なお、当該調剤においては、薬学管理料(薬剤服用歴管理指導料を除く。)は算定しない。

違いをまとめると、

長期保存困難のとき
  • 14日分以上の処方箋であること
  • 分割するごとに何度でも5点算定できる
  • 2回目以降は薬剤服用歴管理指導料は算定できない
  • 2回目以降は基本料は算定できない

ジェネリックを試すとき
  • 14日分以上の制限はない
  • 初めてのジェネリック医薬品を試す時に限られる
  • 1度だけ5点算定でき、それ以降の分割は点数を取ることができない
  • 2回目の薬剤服用歴管理指導料を算定できる
  • 2回目以降は基本料は算定できない

細かくみるといろいろ違うけど一番の違いは2回目の薬剤服用歴管理指導料をとれるかどうかだ。

どちらも基本料はとれないから分割したことによって薬局が得られる利益(メリット)は、
  • 長期保存困難のとき:5点のみ
  • ジェネリックを試すとき:5点 + 薬剤服用歴管理指導料41点
つまり薬剤服用歴管理指導料をとれなければ5点しかとれないので手間ばかり増えて殆ど利益にならないということだ。


分割調剤の手順を説明する前の補足要件


共通
保険薬剤師は、投与日数が長期間にわたる処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要がある場合には、分割調剤を行うこと。保険薬局において分割調剤を行い、当該薬局において調剤済みとならない場合は、処方せんに薬剤師法第26条に規定する事項及び分割理由等の必要な事項を記入し、調剤録を作成した後、処方せんを患者に返却すること。


長期保存困難で分割する場合
長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せんによって調剤を行う場合であって、処方薬の長期保存の困難その他の理由によって分割して調剤する必要があり、分割調剤を行った場合で、1処方せんの2回目以降の調剤を同一の保険薬局において2回目以降行った場合に算定する。処方せんの受付時に、当該処方せんを発行した医療機関等に対し照会を行うとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。


初めてのジェネリック医薬品を試すために分割する場合
後発医薬品への変更が可能な処方せんを提出した患者の同意に基づき、処方せんに記載された先発医薬品を初めて後発医薬品に変更して調剤を行う場合であって、当該患者の希望により分割調剤を行った場合で、同一の保険薬局において1処方せんの2回目の調剤を行った場合に限り算定する。この場合において、2回目の調剤を行う際には、先発医薬品から後発医薬品への変更による患者の体調の変化、副作用が疑われる症状の有無等を確認するとともに、患者の意向を踏まえ、後発医薬品又は変更前の先発医薬品の調剤を行うこととする。なお、その際に、所定の要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料を算定できる。処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、分割理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。また、2回目の調剤の際に、患者の意向により変更前の先発医薬品の調剤をった場合も、処方せんを発行した医療機関等にその旨を連絡するとともに、先発医薬品に再変更した理由等の必要な事項を調剤録に記入すること。

 その他の注意事項
1処方せんについて、「注4」に係る分割調剤の2回目以降の調剤と「注5」に係る分割調剤の2回目の調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、いずれか一方の分割調剤に係る点数のみを算定する。
調剤基本料は、患者等が提出する処方せんの枚数に関係なく処方せんの受付1回につき算定する。なお、同一保険薬局において分割調剤を行う場合は、調剤基本料は初回のみ算定し、2回目以降については、「注4」又は「注5」のとおり算定するが、異なる保険薬局で分割調剤を行う場合は、各保険薬局においてそれぞれ調剤基本料を算定できる。

当然ながら、長期保存困難とジェネリック医薬品をお試しのどちらの要件も満たした場合であっても、どちらか一方しか取れない。

また、

もし初回に分割調剤してもらった薬局と異なる薬局に処方箋を持って行ってしまった場合は、新規の受付として取り扱うので基本料と薬剤服用歴管理指導料を算定することとなる。新規の受付なので分割調剤の5点は算定できない。また、調剤料も調剤した日数分まるまる請求できる。


分割調剤の手順(フローチャート)


処方箋を受け付ける
分割調剤の希望の確認
処方箋に必要事項を記入
(調剤量、調剤年月日、薬剤師の署名など、薬局の所在地など、分割調剤の理由)
調剤録の作成
処方箋を返却(コピーをとることが望ましい)
医療機関(医師)に分割調剤した旨と理由を伝える

コピーはとらなくても構わないのだが、返却した処方箋を次に異なる薬局に持って行ってもいいことになっているので、回収できない可能性がある。

レセプト作成の都合もあるので事前にコピーをとっておくことが望ましい。

また、調剤が終わった後で構わないので分割した理由を処方箋発行元の医療機関へ連絡しなければならない

さらに、ジェネリック医薬品を試してみて、やっぱり先発品がいいということになった場合は、その旨も医療機関へ連絡しなければならない。
  • ジェネリックを試す → 今後ジェネリックを使用する → 病院へ連絡不要
  • ジェネリックを試す → やっぱり先発品がいいね → 病院へ連絡

調剤済みとならなかった処方箋に記入すべき内容
  • 調剤量
  • 調剤年月日
  • 調剤した薬剤師による記名押印または署名
  • 調剤した薬局の名称および所在地
  • 処方変更の内容(必要におうじて)
  • 疑義照会およびその回答の内容(必要に応じて)
  • 分割調剤の理由
調剤済み処方箋と違うところは『調剤済み』を記載しないことと、調剤量分割理由を記載することだ。


投与日数の計算方法


要件
分割調剤を行う場合は、その総量は、当然処方せんに記載された用量を超えてはならず、また、第2回以後の調剤においては使用期間の日数(ただし、処方せん交付の日を含めて4日を超える場合は4日とする。)と用量(日分)に示された日数との和から第1回調剤日から起算して当該調剤日までの日数を差し引いた日分を超えては交付できない。
例えば、4月3日交付、使用期間4日間、用量10日分の処方せんで4月4日に5日分の調剤を受け、次に10日に調剤を受けに来た場合は(10+4)-7=7であるから、残りの5日分を全部交付して差し支えないが、もし第2回の調剤を4月13日に受けに来た場合、(10+4)-10=4となるので4日分しか交付できない。

処方箋に期限があるように、分割したあとの処方箋にも期限があります。

上記に記載されているのは公式に発表されている例だ。

ちょっとややこしいのでまとめてみる。
  • 4月3日に発行された10日分の処方箋
  • 4月4日に5日分だけ調剤(残り5日分)

4月10日に残りのぶんをもらいにきた場合
→【処方日数(10日) + 使用期限の日数(4日)】 - 【2回目調剤日(10日) - 処方箋交付日(3日)】
→7日分まで交付可能
→残り分は5日分なので、5日分交付することとなる。

4月13日に残りのぶんをもらいにきた場合
→【処方日数(10日) + 使用期限の日数(4日)】 - 【2回目調剤日(13日) - 処方箋交付日(3日)】
→4日分まで交付可能
→残り分は5日分あるが、4日分しか交付できない。

4月17日に残りのぶんをもらいにきた場合
→【処方日数(10日) + 使用期限の日数(4日)】 - 【2回目調剤日(17日) - 処方箋交付日(3日)】
→0日分まで交付可能
→1日分も渡すことができない。これを処方箋の使用期限切れといえるだろう。

つまり、
交付可能日数は次のように求められる。
【 交付可能日数 = (処方日数 + 4日) - (2回目調剤日 - 処方箋交付日)】

公式な発表では上記のように計算しているが、この公式は展開するともう少しわかりやすくなる。

公式として使用するなら一番シンプルな形で使用するべきである。
【 交付可能日数 = 処方箋交付日 + 処方日数 + 4日 - 2回目調剤日 】



分割処方箋の使用期限はいつまでなのでしょうか?

公式
【分割処方箋の使用期限 = 処方箋交付日 + 使用期限の日数(4日)+ 処方日数 - 1】
つまり、この場合だと
3日 + 4日 + 10日 - 1 = 16日までと言えます。

ただ、期限ギリギリ(4月16日)に持って行った場合は1日分しか処方してもらえません。

なぜ「-1」が必要なのかというと、処方箋期限が処方箋発行日を含めて4日だからです。

3月4日の処方箋期限は3月7日までです。

普通に処方箋期日を計算するときも「-1」しますよね。それと同じです。

では、

最大日数でもらえる期限はいつになるのでしょうか?

公式
【最大日数でもらえる期日 = 処方箋交付日 + 調剤済み日数 + 4日】

この公式で求められます。

さっきの場合だと、

処方箋交付日(4/3) + 調剤済み日数(5日分) + 4日 = 最大日数でもらえる期日(4/12)

よって4/12までに2回目の処方箋を持ってきてくれれば、残りぶんを全て渡すことができます。

4/13に持ってきた場合は、先ほど計算したとおり4日分しかわたすことができませんね。

患者さんには、満量で渡せる期日を伝えるようにしましょう。

そうしない2回目を取りに来た時に満量で渡せない、もしくは期限が切れているなんてことになる。


外用薬は分割調剤できるのか?


Q:後発医薬品の分割調剤は、内用薬だけでなく、外用薬なども対象となるか。
A:医薬品の長期保存の困難性などの理由から分割調剤する場合と同様に、対象となる。
診療報酬改定Q&A

理由が長期保存困難でも後発品のお試しでも、どちらも外用薬も当然分割調剤の対象となる。

ただ、外用薬は処方箋に日数が表記されていないので使用期限の日数計算ができない。

しかし、期限を無制限とするわけにもいかないので、

外用薬の処方できる期限は患者の来局間隔や薬剤師の経験から、常識の範囲内で使用日数を想定して期限を定め患者に伝えることとする。


計量混合加算や自家製剤加算や一包化加算は分割ごとに算定できるのか?


シロップを混ぜたり、軟膏を混ぜると安定性が悪くなり保存がきかなくなるので日数が長い時や大量に混合したときは分割して調剤することになる。

一包化場合もPTPを開封するので期限が短くなるので長期の処方は分割して対応することとなる。

この場合は、

分割ごとに計量混合や自家製剤や一包化の作業が発生することとなるので、その都度算定して差し支えないとされている。

処方例
ヒルドイドソフト軟膏 500g
プロペト  500g
混合

長期保存困難により500gずつ、2回にわけてお渡し。

1回目も、2回目もどちらも混合の手間が発生するので、計量混合加算は2回算定して差し支えない。


分割した調剤料の計算方法


定義
同一薬局で同一処方箋を分割調剤した場合は、1回目の調剤から通算した日数に対応する点数から前回までに請求した点数を減じて得た点数により算定する。

つまり、

公式
【(初回から今回までの通算日数分に対応した調剤料)-(前回までに算定した調剤料の合計)=(今回の調剤料)】

例えば、投与日数90日分で、初回、2回目、3回目と30日分ずつ分割調剤したとする。

初回の調剤料:30日分(81点

2回目の調剤料:通算60日分(初回30日 + 今回30日)(89点) - 前回までの調剤料合計(81点)= 8点

3回目の調剤料:通算90日分(初回30日 + 前回30日 + 今回30)(89点) - 前回までの調剤料合計(81点 + 8点)(89点)= 0点


考え方としては、

90日分の調剤料(89点)を分割して請求する考えておけばいい。

上記の例だと、

1回目:81点 + 2回目:8点 + 3回目:0点 = 合計89点

だから、いくら分割しても90日分の調剤料よりも多くなることはないのだ。

ただし、

これはあくまでも同一薬局に処方箋を持っていった場合だ、

異なる薬局であればその都度新規の受付として取り扱うので、前回分の調剤料を差し引く必要はなく、調剤料は渡した日数まるまるとれる。

異なる薬局の場合は、
1回目(30日分):81点
2回目(30日分):81点
3回目(30日分):81点

患者が請求される調剤料の合計は243点となる。

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