2016年8月13日

医薬品の特許権は発売から20年ではない!!

先日、医師からこのような電話がありました。

医師「クレストールって発売から10年以上たってるけど、まだジェネリック発売してないの?

もちろんまだクレストールのジェネリックは発売していないのですが、それはさておき、トンチンカンな質問です。いろいろ勘違いしてますね。

・10年って数字はどこからでてきたのでしょうか?
・特許件発生の起算日は発売日関係ありません。

意外と勘違いしている人多いんですかね?今回はこの特許権について詳しくみていきます。

特許権というのは独占排他権といって、他人の使用を差止めたり損害賠償を行うことができる権利のことです。特許権者の許可なく実施したら膨大な額の損害賠償を請求されてしまいます。

医薬品の特許権とは


医薬品においてもっとも大事なのは"物質特許"ですが、物質特許の場合は製造方法によらず化学構造で特定できるその物質に対して特許が取れます。一番範囲が広くってだいじな特許です。

これが切れると排他的な権利がなくなるので、他社が同じ成分のものを作り販売することができるようになります。

産業の発展のためにも技術は広く公開されるべきなので、特許権には期限が設けられています。期限が長すぎれば産業の発展の妨げになり、短すぎれば発明の労力に見合う対価を獲ることができず発明意欲の減退につながる。

とういことで、ちょうど良さそうな期間がこの期限というのは出願から20年。

はい、ここで注意しておきたいのが出願から20年です。発売日は関係ありません。

出願とは、書類をそろえて特許庁に提出した日のことをいいます。ここから審査が始まって無事に審査をパスして名簿に登録されたら特許権の発生です。

たとえば、審査に3年間かかってしまったとします。そしたら、特許権は発生してから17年しか有効利用できないことになっています。

特許権は20年とよくいいますが審査により間違いなく数年は削り取られています。

医薬品の特許の存続期間にかんしては他に特殊なルールがあります。

医薬品の場合は商品として発売するまでに膨大な臨床試験が必要になります。これは薬機法で定められているので省略することはできません。

治験とかいっぱいやって効き目があること、安全であることなんかをいろいろ証明してからじゃないと販売できません。

出願と同時に臨床試験を開始したとしても特許権が発生するまで臨床試験は終了しない事のほうが多いので、実質、薬事法に制限されて特許権が侵食されてしまう。

医薬品の場合は、開発にかかった膨大なお金を、特許権が存在する期間内に出来る限り回収しておきたいのです。だから、ちょっとの間だって特許権を侵食されたら困るのです。

ということで、これには救済措置があって延長が認められる場合がある。

数少ない特許権の延長が認められる例ですね。

特許権が設定されてから2年以上他の法律によって特許権の使用が制限されてしまった場合に、5年を限度として延長が可能です。

使えなかった期間の5年分は延長がみとめられるので、医薬品の特許権は最大で出願から25年間保護されます。5年延長が認められたとしても医薬品の特許権を行使できる期間って10年くらいしかないそうです。

保護期間をすぎたらジェネリックがぞろぞろと登場して先発品の利益はガクッと下がってしまいます。

最近では、特許権が存続するうちに子会社なんかにジェネリック作らせて先行販売して市場を先に独占してしまおうなんて手もあります。先発品が公認するジェネリックのことをオーソライズドジェネリックといいます。

特許権者は、他人に特許権の実施を許諾する権利を有しており通常実施権を与えることができます。この通常実施権を設定されたものは特許権の行使をうけることなく特許を実施することができます。

これを子会社や関連会社に発行してオーソライズドジェネリックをつくってもらうのです。

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