2016年4月21日

後発品の変更不可にチェックをするなら理由の記載が必要


平成28年3月25日発行
「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について
保医発0325第6号

こないだ告示されたばかりの通知です。

「診療報酬請求書等の記載要領等」には処方箋の書き方の注意点なんかも記載されています。改定でいくつか追加された事項があるので、見ていきたいと思う。

医師が使用している電子カルテがアップグレードすることで、この様式には自動で対応できているようで、ほとんどの病院で4月1日から新処方箋様式に対応できています。

ただ、決まって改定毎に対応が遅れるのは手書き処方箋です。モラルの低い医師だと手書き処方箋の在庫がなくなるまで旧式の処方箋を使い続けます。

在庫がなくなるまで、いつまでたっても新しい処方箋に切り替わりません。

さて、

本題に入りますが、こんな記載があります。

処方せんの記載上の注意事項
「備考」欄について
(5)処方医が、処方せんに記載した医薬品について後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合は、差し支えがあると判断した医薬品ごとに、「処方」欄中の「変更不可」欄に「 ✓ 」又は「×」を記載するとともに、「保険医署名」欄に署名又は記名・押印すること。なお、後発医薬品を処方する際に、「変更不可」欄に「✓」又は「×」を記載する場合においては、その理由を記載すること

つまり、後発医薬品を変更不可にした場合は、その理由を備考欄に記載しなくてはならなくなりました。

残念ながら、これをちゃんと記載している処方箋はいまのところお目に書かれていません。そもそも、ここ最近はジェネリック医薬品を変更不可にしてくる処方箋じたいがかなり少ない。

理由なきジェネリックのメーカー指定の変更不可はもはや医師による嫌がらせでしかない。

うちの近くの手書き処方箋を発行する病院が、後発を使用し変更不可をしてくるのですが、理由なんてとくに書いてないです。その処方箋にはほぼ対応できないので、その病院の門前を紹介するという対応がほとんどです。

たぶん、これは薬局と病院がタイアップして処方箋を囲い込むための作戦だと思う。なんか、キックバックでもしてるんじゃないかと疑ってしまう。

ジェネリック指定の変更不可処方箋を門前でないとこで、不足なく薬を処方してもらえたら、もうそれってキセキです。

たとえば、レボフロキサシン錠500「サンド」をメーカー指定したとしましょう。

レボフロキサシン500のジェネリック医薬品は軽く30種類以上あります。薬局は多くの場合でジェネリックは先発1つに対して1種類しか持っていません。

だから、都合よく「サンド」を持っている確率は1/30しかありません。どうしても「サンド」しかダメとなると取り寄せる必要があるのですが、マイナーメーカーだと卸にも在庫がなくメーカーから取り寄せることになり場合によっては数日要することがあります。

それでも待ってくれるならレボフロキサシン5錠とか渡すけど、残った95錠は残念ながら不動在庫です。

だから、後発医薬品のメーカー指定はむやみやたらにしないで欲しいわけです。薬局の負担がでかすぎるのと、患者のユーザビリティも低下させ、後発医薬品普及の妨げになります。

つまり、明確な理由なく不可にするなってこと。

長くなったけど、これを是正するために、もし後発医薬品に変更不可のチェックをしたいのであれば備考欄に変更不可の理由を記載しなくてはならないことになったわけです。

勘違いしないで欲しいのが先発品で変更不可をチェックした場合です。先発品の変更不可はいままでと対応はかわらないので変更理由を記載する必要はありません。先発品の変更不可の理由は概ね先発至上主義でしょうね。

理由の記載の義務化は後発医薬品を普及させたいのであれば当然の措置ですが、まだまだあまいですよね。いっそ、ジェネリックの変更不可はできないことにすればいいのにとおもう。

「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(保医発0325第6号)処方せんの記載上の注意事項
「備考」欄について
(1) 保険薬局が調剤を行うに当たって留意すべき事項等を記載すること。
(2) 麻薬を処方する場合には、麻薬取締法第27条に規定する事項のうち、患者の住所及び麻薬施用者の免許証の番号を記載すること。
(3) 長期の旅行等特殊の事情がある場合において、必要があると認め、必要最小限の範囲において、投薬量が1回14日分を限度とされる内服薬及び外用薬であって14日を超えて投与した場合は、その理由を記載すること。
(4) 未就学者である患者の場合は「6歳」と、高齢受給者又は後期高齢者医療受給対象者であって一般・低所得者の患者の場合は「高一」と、高齢受給者又は後期高齢者医療受給対象者であって7割給付の患者の場合は「高7」と記載すること。
(5) 処方医が、処方せんに記載した医薬品について後発医薬品に変更することに差し支えがあると判断した場合は、差し支えがあると判断した医薬品ごとに、「処方」欄中の「変更不可」欄に「 ✓ 」又は「×」を記載するとともに、「保険医署名」欄に署名又は記名・押印すること。なお、後発医薬品を処方する際に、「変更不可」欄に「✓」又は「×」を記載する場合においては、その理由を記載すること。
(6) 入院中の患者以外の患者に対する処方について、患者の服薬管理が困難である等の理由により、保険薬局に分割調剤を指示する場合には、分割の回数及び当該分割ごとの調剤日数を記載すること。なお、この場合において、保険薬局に指示しておくベき事項等があれば具体的に記載すること。
(7) 1処方につき70枚を超えて湿布薬を投与する場合は、当該湿布薬の投与が必要であると判断した趣旨を記載すること。
(8) 保険薬局が調剤時に患者の残薬を確認した際に、当該保険薬局に対して、「保険医療機関へ疑義照会をした上で調剤」すること又は「保険医療機関へ情報提供」することを指示する場合には、該当するチェック欄に「✓」又は「×」を記載すること。
(9) 地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算又は地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料を算定している患者について、保険薬局に対してその旨を情報提供するに当たって、処方せんへの書面の添付によらない場合には、当該加算を算定している旨を本欄に記載すること。

ついでだからもうちょっと見ていく。

(7) 1処方につき70枚を超えて湿布薬を投与する場合は、当該湿布薬の投与が必要であると判断した趣旨を記載すること。
湿布を70枚以上超えて処方するときには備考欄にその理由を記載しなくてはならないことになった。これもH28年度診療報酬改定で追加された項目です。

複数の種類の湿布薬に分散させたとしても、トータルで70枚を超えたら理由の記載が必要です。

確かに、70枚以上の湿布処方が激減した気がします。その代わり、こまめにもらいに行くようになったのかもしれません。

(9) 地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算又は地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料を算定している患者について、保険薬局に対してその旨を情報提供するに当たって、処方せんへの書面の添付によらない場合には、当該加算を算定している旨を本欄に記載すること。
薬局でも包括の点数が追加されたので、もし病院が包括診療していてそれにかかる処方箋を発行した場合は別の書類を添付するかもしくは備考欄に地域包括診療料等であることを示す旨が必要になった。ちなみに、薬局で新規で追加された包括の点数は「かかりつけ薬剤師包括管理料」のことです。

おまけ
国が後発医薬品を推進するためにとった作戦


さっきの、後発品変更不可に理由をもとめること以外にも一般名処方の推進という策も講じました。

一般名処方は成分名で記載することで、薬局は患者と相談してジェネリックでだしてもいいし、先発で出してもいいという一番融通のきく処方箋の書き方です。

ジェネリックのメーカー指定で処方した場合だとジェネリック間で変更できるけど、先発品に変更することはできない。

その点、一般名処方だと先発品でも後発品でもどちらでも処方できる。

ちなみに、一般名で記載されたものは原則ジェネリック医薬品でわたします。先発品でわたすときにはレセプトの摘要欄に先発で処方した理由を記載しないといけないことになっている。

ひと手間かかります。

国は、この一般名処方を普及させることがジェネリック推進の近道だと考えているようで、一般名で処方箋を記載しただけで病院に加点がつきます。

それが一般名処方加算という加算です。

一般名が1種類でもはいっていれば、処方せん料に加えて2点追加でもらえます。一般名にできるもの全種類を一般名にした場合は3点もらえます。

治療した内容は同じなのに処方箋の記載方法を変更しただけで最大で30円ぶん多く請求できるのです。

処方する方法が、先発品を選択して処方して、最後に自動で一般名い変更して処方箋を打ち出すシステムだったら、ホントなんにも手間が増えてないのに3点多くもらえる。

もう出血大サービスですよね。

薬局はジェネリックの使用割合が高いと加点取れるんだけど、今回改定でめちゃくちゃ厳しい使用割合を求められることとなったので、多くの薬局が加算を断念したはずだ。

それに対して医科側では単純にプラス改定ですね。医科の一般名処方をもって後発を推進しようって作戦です。

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