2016年3月30日

医師の指示による分割調剤が可能になりました

分割調剤はややこしいので敬遠されがちですが、H28年調剤報酬改定でさらにややこしくなります。

以前は、薬局主導での分割調剤だからやらずに済んでいましたが、今回改定では病院主導の分割調剤も導入されるので、いきなり処方箋がきて知らなかったではすまされません。

この機会に分割調剤について学んでみましょう。

従来の分割調剤についてはこちらの記事で詳しくし説明しているので、参照下さい。

過去記事:分割調剤を学ぶ8個のポイント

いままで分割できるパターンって2パターンしかなかったのですがH28年調剤報酬改定より新たなパターンが追加されて3パターンに増えました。

そもそも分割調剤の2パターン知っていますか?

従来の分割調剤、
長期保存が困難な薬剤を交付する場合の分割
はじめてジェネリック医薬品を使用する場合の分割

今回追加されたのが、
処方医が指示した場合

つまり、病院主導での分割調剤です。

病院主導での分割調剤が追加になった背景


H28診療報酬改定で医科側に「長期投薬の取扱の明確化」として下記のルールが追加になりました。
医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。
なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。
ア 30日以内に再診を行う。
イ 200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。
ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方せんを交付する。

一昔前は、医者はこまめに来てもらったほうが診察料を何度もとれるから7、14日処方ばかりでしたが、これだと医療費かかるし患者の負担もムダに大きいので長期処方を優遇して長期処方するような方向に向かわせた。そしたら、今度は長期処方すると薬のムダが増えるからという理由で30日以内の処方を明確化しました。

大病院は忙しすぎて外来につきあってる時間がとれず、必然患者の受診サイクルを長くするために長期処方になります。聞いた話だと、とある大学病院は最低で90日処方だそうです。薬が新しいものに切り替わっても一発目から90日分処方になるそうです。すると、1回飲んで副作用が出た場合はほぼ90日分ムダになります。今回の改定は残薬にものすごく注目しているので、これを見過ごすことはできません。

ただ、これって30日にしたら大学病院の外来が立ち回らくなってしまうので30日分に制限するだけでは根本的な解決にならない。ということで、分割処方箋の導入するわけです。

追加ルール
長期保存が困難な場合や後発医薬品を初めて使用する場合以外であっても、患者の服薬管理が困難である等の理由により、医師が処方時に指示した場合には、薬局で分割調剤を実施する。その際、処方医は、処方せんの備考欄に分割日数及び分割回数を記載する。2回目以降の調剤時は患者の服薬状況等を確認し、処方医に対して情報提供を行う。
〈上記分割調剤の算定例〉
90日分の処方を30日ごとに3回分割調剤を指示の場合
○調剤基本料、調剤料、薬学管理料
分割調剤しない場合(90日分調剤した場合)の点数 A点 ⇒ 分割調剤ごとにA/3点
※2回の分割指示の場合は分割調剤ごとにA/2点、3回以上の分割指示の場合は分割調剤ごとにA/3点
○薬剤料 ⇒ 分割調剤ごとに30日分の薬剤料

従来の分割調剤と調剤報酬の計算方法が全然違います。従来の分割調剤は分割した2回目以降の調剤では薬剤服用歴管理指導料や調剤基本料はとれずに代わりに5点がとれるのですが、今回の分割では3回の場合は1/3ずつに分けるから、3回交付して従来の点数をフルで回収できます

手間は3倍かかるのに点数は従来の点数です。これはどういうことだと思ってしまう。でも、分割指示は医師指示だから拒否できませんよね。

従来の分割では1回目と2回目と違う薬局に行った場合は、薬剤服用歴管理指導料や調剤基本料はそれぞれで算定できるけど、今回の分割ではそれぞれで1/3ずつの算定なので単純に減額になっただけですね。

他で分割された処方箋をもってきたら1から手間がかかるのに1/3しか点数がとれないという恐ろしい規定でもあります。ただし、薬局の減額は最大で1/3までです。3回以上の分割指示でも、調剤料の計算は1/3ですることができます。
2回に分割したら1/2
3回に分割したら1/3
4回に分割したら1/3
5回に分割したら1/3

ちなみに、後ほど疑義解釈を抜粋しておきますが、重複投薬・相互作用等防止加算、一包化加算、ハイリスク加算、乳幼児指導加算、時間外加算、かかりつけ薬剤師指導料などの技術料もすべて1/2か1/3です。

たとえば、3回のうち1回だけ重複投薬・相互作用等防止加算を算定したとします。通常は、1回30点ですが、3分割の場合だと1回10点しか算定できません。3回疑義照会するわけないのに1/3ってかなり理不尽ですよね。

だから、今回の分割は薬局にとってのメリットは皆無です。

1回でもらえる会計が、3分割の指示があった場合は3回すべて応需してやっと同額になります。

今回の分割調剤についての点数表の原文を抜粋しておきます。ややこしいので原文の方でよく確認下さい。注6、注7は以前の分割で、注8が追加になった分割です。
「調剤報酬点数表」の抜粋
注6 長期投薬(14日分を超える投薬をいう。以下同じ。)に係る処方せん受付において、薬剤の保存が困難であること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方せんに基づく当該保険薬局における2回目以降の調剤については、1分割調剤につき5点を算定する。なお、当該調剤においては第2節薬学管理料は算定しない。

注7 後発医薬品に係る処方せん受付において、当該処方せんの発行を受けた患者が初めて当該後発医薬品を服用することとなること等の理由により分割して調剤を行った場合、当該処方せんに基づく当該保険薬局における2回目の調剤に限り、5点を算定する。なお、当該調剤においては、第2節薬学管理料(区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料を除く。)は算定しない。

注8 医師の分割指示に係る処方せん受付(注6及び注7に該当する場合を除く。)において、1回目の調剤については、当該指示に基づき分割して調剤を行った場合に、2回目以降の調剤については投薬中の患者の服薬状況等を確認し、処方せんを交付した保険医(以下この表において「処方医」という。)に対して情報提供を行った場合に算定する。

この場合において、区分番号00に掲げる調剤基本料及びその加算、区分番号01に掲げる調剤料及びその加算並びに第2節に掲げる薬学管理料は、分割回数が2回の場合は、それぞれの所定点数の2分の1に相当する点数を、分割回数が3回以上の場合は、それぞれの所定点数の3分の1に相当する点数を1分割調剤につき算定する。

「調剤報酬点数表に関する事項」からの抜粋
(12) 「注8」については、医師の分割指示に係る処方せん(「注6」又は「注7」に該当する場合を除く。)に基づき、患者の同意の下、分割調剤を行った場合に算定する。
(13) 「注8」に係る分割調剤を行う場合において、調剤基本料及びその加算、調剤料及びその加算並びに薬学管理料については、当該分割調剤を行う保険薬局が当該処方せんにおいて分割調剤を実施しない場合に算定する点数をそれぞれ合算し、分割指示が2回の場合は合算した点数の2分の1、分割指示が3回以上の場合は合算した点数の3分の1に相当する点数を当該調剤時に算定する
なお、算定に当たり、合算した点数を2分の1又は3分の1にした際に生じる、小数点以下の数値については切り捨てる。
(14) 1処方せんについて、「注6」、「注7」又は「注8」に係る分割調剤のうち、複数の分割調剤を同一の保険薬局において同一日に行う場合にあっては、「注8」の分割調剤に係る点数により算定する。

気になる点
・処方箋の分割後の期限
・処方箋の分割が残っているのに再受診した場合のあらたな処方箋の交付
・紛失した場合の対応

分割回数残っていてもなくしたっていって新しい処方箋もらったら、二重でもらえることになるけど。

従来の分割も2回目は薬剤服用歴管理指導料や調剤基本料とれないから、今回で大幅に減額されたということではないが、従来は薬局主導なのでほとんど分割機会がなく影響はなかった。

しかし、今回の改定は違いますね。大学病院の90日処方がすべて分割されたら大学病院前の薬局はもう大変なことになります。

単純に業務が3倍になって利益はそのままですからね。病院主導なので回避するすべがありません。

どうするのこれ?分割調剤。

追記

分割調剤は服薬情報等提供料がとれる


さすがに、3回にわけてわたして、1回分の料金しか取れないとなると薬局にメリットがなさすぎます。

だから、分割したら追加でとれる点数が存在します。それが服薬情報等提供料です。

服薬情報等提供料について説明すると長くなるので後日別で記事にします。

調剤報酬点数表より
服薬情報等提供料 20点
患者、その家族等若しくは保険医療機関の求めがあった場合又は薬剤師がその必要性を認めた場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も患者の服用薬の情報等について把握し、患者、その家族等又は保険医療機関へ必要な情報提供、指導等を行った場合に、所定点数を算定する。なお、保険医療機関への情報提供については、服薬状況等を示す情報を文書により提供した場合に月1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

調剤報酬点数表に関する事項より
服薬情報等提供料は、以下の場合に算定できる。
~(略)~
イ「区分番号00」の調剤基本料の「注8」に掲げる分割調剤において、2回目以降の調剤時に患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医に対して情報提供を行った場合
~(略)~

月に1回だけ1回20点とれます。服薬情報等提供料は処方箋受付と関係ないとこで算定できる点数なので、服薬情報等提供料単独でレセプトつくるのかな。よくわかりません。

H28年の疑義解釈抜粋【分割調剤】


(問14)同一医療機関で複数の診療科から発行された処方せんを同時に受け付けた際に、ある診療科からの処方せんは分割指示があり、他の診療科の処方せんでは分割指示がない場合、調剤報酬の算定はどのように取り扱うべきか。
(答)通常、同一患者から同一日に複数の処方せんを受け付けた場合は受付回数を1回とするが、分割指示の処方せんが含まれる場合に限っては、同時に受け付けた場合であっても、分割指示の処方せんとして1回、分割指示のない処方せんとして1回のように、処方せんごとに別で取り扱い、それぞれの受付ごとに調剤報酬を算定して差し支えない。
なお、このような事例については、特定の診療科の処方せんのみ分割調剤することが妥当かどうか確認の上、医師に疑義照会するなど必要な対応を行うこと。

(問15)上記の際に、分割指示の処方せんが複数あり、分割指示の方法(分割回数や期間)が異なる場合、どのように取り扱うべきか。
(答)分割指示が異なる場合は、分割調剤の方法が異なることにより、患者が適切に服薬できるか等の妥当性を確認の上、医師に疑義照会するなど必要な対応を行うべきである。

(問16)調剤基本料の「注8」の医師の指示に伴う分割調剤について、例えば2回目の調剤時に、残薬や副作用が確認され、医師に疑義照会して2回目以降の処方内容が変更された場合、重複投薬・相互作用等防止加算又は在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の算定は可能と理解してよいか。
(答)貴見のとおり。
なお、当該分割調剤時に算定できる点数は、重複投薬・相互作用等防止加算又は在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料を含んだ技術料の合計の2分の1又は3分の1の点数を算定する。

(問17)調剤基本料の「注8」の医師の指示に伴う分割調剤について、例えば、分割指示が3回で、1回目は時間外加算の対象、2回目は時間外加算の対象外、3回目は時間外加算の対象の場合、どのように算定することになるか。
(答)それぞれの分割調剤を実施する日に、当該処方せんについて分割調剤を実施しない場合に算定する点数(調剤基本料及びその加算、調剤料及びその加算並びに薬学管理料)を合算した点数の3分の1に相当する点数を算定する。したがって、調剤時に時間外加算の要件を満たす場合には、当該加算も合算した点数に基づき算定することになる。

【具体例】
(90日分処方→ 30日×3回の分割指示、調剤時には一包化を行う)
※薬剤料は調剤した分を算定

 〈1回目〉
※時間外加算を含めて合算する。
・調剤基本料41点
・基準調剤加算32点
・調剤料(1剤の場合) 87点(90日分)
・一包化加算220点(90日分)
・時間外加算160点
・薬剤服用歴管理指導料50点
590点× 1/3 = 196.66・・≑196点+薬剤料(30日分)

〈2回目〉
・調剤基本料41点
・基準調剤加算32点
・調剤料(1剤の場合) 87点(90日分)
・一包化加算220点(90日分)
・薬剤服用歴管理指導料38点
・服薬情報等提供料20点
438点× 1/3 = 146点+薬剤料(30日分)

〈3回目〉
※時間外加算を含めて合算する。
・調剤基本料41点
・基準調剤加算32点
・調剤料(1剤の場合) 87点(90日分)
・一包化加算220点(90日分)
・時間外加算160点
・薬剤服用歴管理指導料38点
・服薬情報等提供料20点
598点× 1/3 = 199.33・・≑199点+薬剤料(30日分)

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