2016年1月1日

痔の市販薬と病院の薬の違い

まずは病院でよく使用される痔の注入軟膏から説明します。

注入軟膏ってどれも同じようなものかと思いきやそれぞれ特徴があって使い分けがされているようです。一番メジャーなのは強力ポステリザン軟膏だとおもいます。肛門科はいろんなの使うけど内科や皮膚科とかの専門外のとこだと、とりあえず強力ポステリザン軟膏ってのが多いとおもう。

今回説明するはプロクトセディル軟膏(ヘモレックス)、強力ポステリザン軟膏(ヘモポリゾン)、ネリプロクト軟膏(ネリザ)、ボラザG軟膏です。

カッコに書いたのはジェネリック医薬品です。各論に入る前に大雑把に薬の強さについて説明します。

強さの比較と言っても抗生剤がはいってたり、痛み止めが入ってたりとタイプが違うので、ここではステロイドの強さを基準にして考えてみる

まず、おおきくわけてステロイド入ってるのと入ってないのですね。

ノンステロイド
ボラザG軟膏
ポステリザン軟膏

ステロイド配合
ネリプロクト軟膏
プロクトセディル軟膏
強力ポステリザン軟膏

ノンステロイドのものが弱めといえます。

プロクトセディル軟膏と強力ポステリザン軟膏は同じステロイド成分であるヒドロコルチゾン(ウィークランク)が使用されていますが、量を比較するとプロクトセディルの方が1g中に含まれるヒドロコルチゾンの量が倍なので強めといえます。

ネリプロクト軟膏はネリゾナ軟膏に使用されている成分と同じジフルコルトロン吉草酸エステルが配合されています。ネリゾナ軟膏のステロイドのランクは上から2番目ベリーストロングクラスなので強力ポステリザン軟膏やプロクトセディル軟膏よりもだいぶ強いランクのものです。ちなみに、ヒドロコルチゾンはウィークランクなので上から5番目(一番下)です。

よってステロイドの強さ比較は、
ネリプロクト軟膏(ネリザ) >> プロクトセディル軟膏(ヘモレックス) > 強力ポステリザン軟膏(ヘモポリゾン) > ボラザG軟膏

はい、こんな感じ。ネリプロクト軟膏だけが突出して強いです。

あとは細かな違いは各論でみていくことにします。

ネリプロクト軟膏(ネリザ)


ネリプロクト軟膏はさっきのステロイド比較では最強に位置づけられた注入軟膏です。一般名称はジフルコルトロン吉草酸エステル・リドカイン軟膏なのでステロイド成分以外にもリドカインという局所麻酔成分が配合されています。

局所麻酔成分なので痛みを麻痺させて痛み症状を和らげます。

ステロイド成分はジフルコルトロン吉草酸エステルなのでネリゾナ軟膏と同じ成分です。ネリゾナ軟膏はベリーストロングのクラスなのでアンテベート軟膏やマイザー軟膏と同じ強さのものになります。

リドカインはキシロカインゼリー2%と同量の2%が配合されています。他の注入軟膏には使用されていないリドカイン成分が多めということもあって、とくに痛みの強い症状によく効きそうです。

ただ、医薬品の添付文書には漫然と使用すべきものではないことが記載されているので、継続しての使用には十分注意が必要です。

添付文書
本剤での治療は対症療法であるため、概ね1週間を目処として使用し、その後の継続投与については、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に行うこと。

やはりステロイドのランクが強いので、漫然とは使用せずによくなってきたら他の注入軟膏や坐薬に切り替えるなどの措置が必要です。

プロクトセディル軟膏(ヘモレックス)


ステロイド入り軟膏ですがステロイドの成分はウィークランクの弱めのものが使用されています。特徴的なのは抗生物質が配合されているということです。

抗生物質は細菌による炎症や化膿の症状を改善してくれます。フラジオマイシンはベトネベートNやクロマイPに使用されている成分と同じものです。

一般名称はヒドロコルチゾン・フラジオマイシン配合剤軟膏ですが他にも2種類の成分が配合されています。

・ヒドロコルチゾン:ステロイドの一種なので炎症を和らげます。
・ジブカイン:局所麻酔薬なので痛みや痒みを軽減します。
・エスクロシド:出血を抑えます。
・フラジオマイシン:抗生物質なので細菌感染を予防します。

ジェネリック医薬品でも有名なものがありヘモレックス軟膏はプロクトセディル軟膏のジェネリック医薬品に該当します。

強力ポステリザン軟膏(ヘモポリゾン)と同じ市販薬はないの?


医療用の注入軟膏では強力ポステリザン軟膏が一番メジャーな商品ではないでしょうか?肛門科以外が注入軟膏を処方するときは決まってこの強力ポステリザン軟膏を処方してきます。

一般名称は大腸菌死菌・ヒドロコルチゾン軟膏です。

特徴的なのはなんといっても大腸菌死菌ですよね。正確には、大腸菌死菌浮遊液といい死んだ大腸菌がウヨウヨ浮いている液体を指します。なんともインパクトのある成分ではないですか。

患部周辺を大腸菌死菌で満たすと大腸菌死菌に白血球などの免疫細胞がよってきます。これを白血球走能を高めるといいます。白血球走能を高めることで患部の局所感染防御作用示し、また肉芽形成促進作用による創傷治癒促進します。

これもジェネリック医薬品が発売されておりヘモポリゾン軟膏は強力ポステリザン軟膏のジェネリック医薬品です。

名前に強力とありますが何がそんなに強力なのでしょうか?

ステロイドの強さは前述していますが、ヒドロコルチゾンということでウィークランクの弱いクラスのステロイドです。

実は、強力ポステリザン軟膏という商品の他にポステリザン軟膏という商品があります。こちらは、ステロイドの入っていない大腸菌死菌のみを主とする製品です。

これと比較するとステロイドが追加になっているぶん強め(強力)と言えます。

つまり、ポステリザンよりも強力だから強力ポステリザン軟膏です。

残念ながら、市販薬に大腸菌死菌浮遊液が使用されているものはないので同じものを購入することはできません。

強力ポステリザンやプロクトセディルやネリプロクトと同じ市販薬はあるのか?


ドラッグストアにも痔のときの注入軟膏販売されているけど、病院のそれと違いはあるのでしょうか?

ドラッグストアの商品は膨大なので一番メジャーな商品だと思われるボラギノールを見ていきたいと思う。

ボラギノールの注入軟膏には黄色と黄緑があるがこの違いはご存知でしょうか?

まずは黄色いボラギノールから

ボラギノールA注入軟膏
1個(2g)中成分分量
プレドニゾロン酢酸エステル 1mg
リドカイン 60mg
アラントイン 20mg
トコフェロール酢酸エステル 50mg

お次は黄緑のボラギノール

ボラギノールM軟膏
1g中成分分量
リドカイン 30mg
グリチルレチン酸 15mg
アラントイン 10mg
トコフェロール酢酸エステル 25mg

どちらも4種類の成分の組み合わせです。うち3種類は同じ成分が使用されているので、ちがいはプレドニゾロン酢酸エステルかグリチルレチン酸かというになります。つまり、ステロイドかノンステロイドかという違いですね。

黄色 → ステロイド入り
緑 → ノンステロイド

効き目のしっかりしたものを選びたいのであれば黄色いボラギノールを選択しましょう。

そもそも、緑のボラギノールM軟膏はチューブタイプの軟膏なので注入することは出来ません。注入剤を選択するのであれば黄色のボラギノールA注入一択ですね。

注入軟膏は比較してみればわかるけど、他の商品も似たりよったいです。病院でもらう様なものと同じ成分のものはありません。

たとえば、市販のものに大腸菌死菌を含有する製剤はありませんし、フラジオマイシンやジフルコルトロン吉草酸エステルを含有する製剤もありません。

ちなみに、プレドニゾロン酢酸エステルはプレドニン眼軟膏などに使用されている成分でウィークランクのものになります。強力ポステリザン軟膏のヒドロコルチゾンとはランクはおなじだけど違う成分ですね。

ボラザG軟膏とポステリザン軟膏


ボラザG軟膏
トリベノシド + リドカイン

ポステリザン軟膏
大腸菌死菌のみ

どちらもノンステロイドの軟膏ですね。ステロイド気にする人は世の中にけっこう多いのでそういった人にいいです。

ボラザG軟膏の特徴
ボラザGは副腎皮質ステロイドを含有せず、副腎皮質ステロイドとは逆に創傷治癒促進作用を示すトリベノシドを含有します。トリベノシドは抗浮腫作用を有する点で既存の抗炎症薬と類似するが、創傷治癒促進作用を有する点で全く異なっている。従って副腎皮質ステロイドを含有する従来品のように、創傷の治癒を遅延させません。

ポステリザン軟膏の特徴
大腸菌死菌浮遊液は白血球遊走能を高めて局所感染防御作用をしめします。また肉芽形成促進作用により創傷治癒を促進します。

どちらもノンステおロイドで、ステロイドの副作用で創傷の治癒を遅らせる創傷治癒遅延というのがあって、もしそれが気になるならこっちの治癒促進のがいい。

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